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将棋のカンニング疑惑から考える人間とコンピュータの未来

2016/10/19

ご存知の方も多いと思いますが、先日、プロ棋士(九段、将棋の最高段位)による将棋のカンニング疑惑が報道されていました。
将棋の対局中にたびたび席を立ち、スマートフォンの将棋ソフトで次の一手を参照しそれを対局に利用したとの疑惑です。
報道された棋士は、関係するすべてのトーナメントからの欠場が決まりました。

コーチを務める私としては、この報道で注目したいポイントは、プロ棋士(人間)と将棋ソフト(コンピュータ)の立ち位置についてです。

そこで本記事では、この報道を元に、コンピュータと人間の脳の関係性や今後の展望について改めて考察してみます。

超速で進化するコンピュータ将棋

将棋の対局

今回の件で使用された将棋ソフトなどの、いわゆるコンピュータ将棋は21世紀に入って、加速度的にその能力が上がっています。
最新の対戦成績では、今年5月の第一期電王戦にて、山崎隆之八段を相手にコンピュータは全勝しています。

コンピュータの将棋ソフトの開発が着手されたのは1974年。
試行錯誤を経て、実際にプロ棋士への挑戦が始まったのが2005年です。
僅か30年ほどでプロ棋士を凌駕する段階に入ったということです。

人間の棋士の場合、小学生の頃から弟子入りして、名人から将棋の打ち方を教わり、一日10時間以上の学習で棋譜を覚え、ようやくプロ棋士として歩み始めます。
しかし、やっとの思いでプロ棋士になったとしても、コンピュータには到底敵わない、そんな時代に入っているのです。

例えば、将棋のソフトのひとつである「ボナンザ」は人工知能により、これまでの棋譜から評価関数を自動生成しています。
評価関数とは将棋の局面の状態の優劣を静的に評価し、数値に変換する機能のことを言います。
なんとこれをボナンザは1台で6万局学習しています。

人間の棋士が一日10時間以上の学習で覚えた棋譜を、ボナンザは自動的に、しかも人間以上の量を学習しているのです。

今後も、あらゆる棋譜の学習を超速で続けて行く訳ですから、もはや人間のアナログ的(生物的)脳の限界を超えてしまうのは明らかでしょう。

コンピュータはコンピュータと、人間は人間と

人間同士の競走

ボナンザを誕生させたコンピュータ将棋協会の人たちは、推測ですがプロ将棋の段位を持っている方はひとりもいないと思います。
ディープラーニングするソフトを立ち上げて、棋譜を自動学習させた結果、将棋という一定のフレームの中では、無敵に近い対戦結果となることが現実になって来ただけです。
人間は1時間集中するのがやっとですが、コンピュータは疲れ知らずで24時間学び続けることができます。
対局に際しては何日間でも集中力は途切れません。

もはや、ボナンザにとって人間は敵ではないのです。
今後はボナンザ以外のコンピュターソフトが対戦相手になっていくでしょう。

とはいえ、だからといって、今存在するトーナメントが意味のないものになるのでしょうか?
私はそうは思いません。
人間にとって、コンピュータソフトと対戦するのが無意味になるのであって、人間同士の対局はこれまで通り続けるべきでしょう。

また一方では、大勢のアマチュア棋士がボナンザから、手筋を学び、短期間に上達していくことも可能になります。
そうなることで将棋界の裾野が広がり、棋士達の実力も上がって行く事でしょう。

人間はとうの昔に、自転車と競走することは諦めましたし、自動車に至っては、勝負にならないことは分かっています。
但し、人間同士がその速さを競うために切磋琢磨することは、オリンピックで9秒台を目指していることからみても、大切なことです。

多方面で活躍が期待される人工知能

未来を感じる車内

絵画の世界でも、人工知能は今後活躍していくでしょう。
現在でも、例えばピカソの作品をコンピュータソフトに読み込ませる(学習させる)と、ピカソ本人が描いたような画風でオリジナルの絵を描いてしまうものがあります。
今後は「花」「風景」「子供」などキーワードを入れただけで、ピカソの画風でキーワードに付随した絵を描けるようになるでしょう。

他方、日本では、国立情報学研究所の新井教授が、人工知能で「東京大学に合格させる」というプロジェクトを進めています。
現段階では他の国立大学であれば十分狙える位置にありますが、残念ながら、東大合格にはまだまだの段階のようです。
しかし、2021年までには合格させる目標でプロジェクトは今尚進んでいます。

身近な所だと、人工知能搭載のお掃除ロボット「ルンバ」は、部屋の細かな情報を読み込みながら掃き掃除以上の仕事をこなします。
終了したら自分で充電場所に戻るので、とても便利な道具として家庭に浸透してきています。

会話のできる電化製品は、高齢者の家庭では、まるで子供のような役割をしているそうです。
修理の際に、まるで子供を抱きかかえる母親のように、心配しながら電気店に相談に行く様子が報じられていました。

そして現代を生きる我々にとって、最も影響が大きく、最も期待されるのが自動車の人工知能でしょう。
コンピュータなら、正確で規則性を持った安全な運転ができます。
今後実現すれば、人間の恣意的な運転がなくなり、年間120万人という交通事故犠牲者の命を救うことに繋がります。

このように、人工知能の進化によって社会も進化していくのです。

私が思う人間とコンピュータの未来

よく巷では「人間vsコンピュータ」などと、人間とコンピュータの比較をしたがります。
しかしその比較はもはや無意味ですし、本来的には「人間+コンピュータ」と捉えるべきではないでしょうか?

そもそも人工知能の元となるコンピュータは、人間の脳の研究の結果、生まれてきたものです。
そしてコンピュータの進化は、人間に脳によって実現しています。
ならば我々人間も、自分の脳がどう機能しているのかを学ぶことによって、進化していくべきではないでしょうか?

知能と感情を自在に制御し、人間らしい創造性を発揮する自己実現の時代に入ったのです。

コンピュータを手足のように使いこなし、必要な知識は脳の外部メモリーとしてコンピュータにストックする。
まるで映画「マトリックス」の世界が、すぐそこにあるということです。

最後に

TFCのコーチングでは、まさに脳がどのように機能しているかの「脳科学」を基にコーチングを行っています。
あなたも、脳の機能を知り、脳の正しい使い方を身につけることで、コンピュータのように進化していけるはずです。
そして進化は、あなたが思い描く夢や目標達成につながっていきます。

私は、あなたが脳機能を理解し、実践に応用できるようサポートしていきます。

少しでも気になった方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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