先端技術の部下教育

目標とするべき上司像

 

舛添元東京都知事が、2016年に公私混同問題で辞任に追い込まれました。

都民は彼の知事としての政策や手腕については何も問題にはしませんでしたが、

公人としての基本である「品格」については、厳しくそのありかたに疑問符を投げました。

 

つまり、人間性ともいうべき「品格」が「手腕・力量」よりも問われたのです。

 

「品格」を辞書で見ると、

 

「その人や物に感じられる気高さや上品さ、品位」

 

とあります。

 

会社で言えば、いかに営業力が抜きんでても、

品格が低いと周りから尊敬されないばかりか、

行き過ぎると会社の信用、信頼まで落としてしまいます。

 

品格は、かなり抽象度の高い言葉ですので、

具体的にイメージしづらいかも知れませんが、

 

「公平、公正、公明」

 

であることも要件の一つでしょう。

常に自分の言動や行動に恥じない振る舞いとも云えます。

 

まず、幹部、リーダーに問われる資質は「品格」です。

もちろん、最初から「品格」の備わった人はいません。

普段の業務を通じて、お客様や、社内組織の関係性の中で学び続けて行く姿勢です。

 

学ぶためには、驕おごりを持たず、謙虚でなければなりません。

こうした姿勢が一貫して継続できて、品格は次第に磨かれていきます。

これを身体でいうと、姿勢に歪みがなくシャンと背骨が立った状態です。

 

この状態で幹部に求められることは次の3つです。

 

それは

「目標の達成」「業務改善」「部下指導」  です。

 

特に本稿では、

「部下指導」の先端技術とは一体何なのかを集中して探っていきますが、

これまでの3回の中で感じ取られているように、

旧態依然とした「根性論」や「経験論」「意識万能論」から脱して

「心理学」「脳機能科学」「生理学」の知見を学び、

部下指導に生かしていくことで、

業務改善も進み、

ひいては各部門に課せられた目標の達成も容易に進むことになります。

 

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期待通りの結果が出せないと言っては部下を長時間叱り、

部下から自発的に出た小さな提案の芽を理由なしに踏みにじり、

自分が経験した成功談を長時間語り、…こうした上司の下では、

 

残念ながら部下は育ちません。

 

 

よく、体育会系社員は、根性があって伸びると比較されますが、

果たしてそうでしょうか?

 

身体性の伴うゲームは、

野球であれ、サッカーであれ、

一定のフレーム(ルール)の範囲内で成果を競うものです。

そのためには膨大な反復練習により、

役割に応じた技とチームプレーを学びます。

 

反復練習から逃げない、不屈の根性は鍛えられますが、

フレームの存在が希薄な仕事に於いては、

その根性が生かせるかどうかは分かりませんし、

上司に対する従順な態度に好感は持てますが、

成果に繋がるかどうかは未知数です。

 

それでは、本題に戻って、

 

もしあなたが幸福感に満たされていると感じているとしたら、

それはあなたの脳の中に、

幸福を発生させる神経伝達物質が存在しているからです。

 

神経伝達物質の「ドーパミン」が脳内に分泌されたときに、

私たちは快感や幸せを感じます。

例えば、目標が実現したとき、ドーパミンは分泌されます。

仕事がうまくいったときなどに、「やった!」という達成感とともに分泌されるわけです。

 

以前、水泳の北島選手がアテネ五輪で世界記録を更新した直後

 

「超気持ちいい!」

 

と叫びましたが、

 

正にこの感覚です。

 

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その結果として、幸福感、至福感に満たされます。

さらに言えば、ドーパミンは運動を促すホルモンでもあるので、

目標や計画を立てた時点で、

既に分泌が始まっているのです。

 

目標に取り組むことにワクワクして、

モチベーションが上がっていくのはそのためです。

 

ドーパミンは

「ワーキングメモリー(一時的作業記憶)」と深く関わっています。

 

このことから、情報処理能力、注意・集中力・計画性に良い効果を与えます。

海馬や側頭葉は、学習や記憶とも深く関わっているため、

ドーパミンが分泌された状態では、記憶力が高くなります。

 

ドーパミン神経系は、

欲求が満たされたとき、あるいは満たされることが分かったときに活性化し、

快の感覚を与えるため「報酬系」と呼ばれます。

 

「より多くの快感=より多くのドーパミン」のために、

人間はどこまでも高みを目指すのです。

 

現実には、

ドーパミンを出しながら働くことで、仕事が猛烈にはかどるのです。

人間は充分な報酬をもらわないと、仕事をやる気になりません。

 

脳も同じで、

充分な報酬をもらわないとドーパミンは分泌されないのです。

こうしたドーパミンの役割と機能が分かると、

上司は部下の脳内にドーパミンを分泌するためには、

 

「褒める」

 

ことであったり、

 

「目標達成」

 

の醍醐味を経験させたり、

 

将来を見据えた

 

「目標設定」

 

を指導したりすることで

必然的にモチベーションを上げることができる訳です。

 

脳はチャレンジを好みます。

目標を達成したらさらに大きな目標を達成して、

さらに大きな「快」を得るというシステムです。

 

脳科学的に云えば、

 

「なに不自由ない生活」では、ドーパミンは出ません。

 

「満足した生活」「変化のない日常」が習慣になってしまうと、

ドーパミンが分泌されなくなり、

つまり幸福感が得られなくなります。

 

 

次回は「闘争と逃走のホルモン〝ノルアドレナリン〟」について解説します。

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