先端技術の部下教育

スピードは付加価値

これまで教育の真髄とは何かについてのヒントをいくつか見てきました。

こうした連載は繰り返し読み、思考するのには適していますが、

言葉を超えた理解となるとライブ研修には及びません。

 

某社でフロント社員を中心とした研修を開始しました。

その際、皆さんの問題を包括すると

 

①上司が指示を出しても指示通りに動かない

②都合の悪いことは隠す

③発覚したときには大きな問題になる

④(上司は)最後は自分でやるしかなくなる

 

(以上が上司の声)

 

❶お客様からいろいろな要望を頂くが、

知識、能力が足りず、応えることができない

❷上司に相談しても指示はあるが、一緒に解決する時間が取れない。

むしろ、叱責気味に指示される

❸顧客からクレームがあると

「また怒られるんじゃないか」という思いが先に立ち、

なかなか報告できない

 

(以上が現場担当者の声)

 

いずれも現場では切実な問題です。

某社では、これまでの約50年の社歴の中で、

時代の変化に即応して常に形を変えて出てきた問題です。

会社の先輩はこれまで試行錯誤しながら取組み、乗越えてきました。

 

時代は変わり21世紀になると、

IT技術が取引先にも浸透し、何事にもスピードが要求され、

「直ぐに」が当たり前の環境に変わりました。

 

紙の書類はどんどん減少し、

電子メール、電子ファイルが主流になりました。

確定申告も、領収書添付不要の電子申請が特別でなくなりました。

 

株の取引はロボット化され、

1秒間に何百万回の自動売買がPCで可能になっています。

外出あるいは休暇中の社員と連絡がとれないということは、

常識的にあり得ない時代なのです。

 

 

早さは付加価値

 

時代は何事も「早く、早く」に向かっており、

早いものには価値があり、

人は余計にお金を払っても早いものを求めます。

 

新幹線の利用がそうですし、

品川・名古屋間のリニアが開通すれば、

人はリニアに乗り換えて行くでしょう。

 

アマゾンでは朝ネットで本を注文すると、

午後4時くらいには配達されるのです。

 

会社は、時代をしっかり先取りし、

社員の進むべき方向を指し示しています。

 

しかるに現状に忙殺されるあまり、

目の前ばかりが重要になり、その先は盲点となるのです。

部下教育①

 

睡眠力は仕事力

 

人の持つ優れた基本的体力、知力を発揮する源は

睡眠」であることが、

脳科学や医学の知見から証明されています。

 

睡眠時間をどんどん減らしていくと、

途端に注意力が散漫になり、記憶力(特に短期記憶)が落ち、

風邪を引きやすくなり、やる気も失せてきます。

 

このように目覚めている時の生産性が落ちてくるので、

当然に仕事が遅くなります。

時間内に業務が終了せず、

残業が多くなり必然的に就寝時刻が遅くなる。

 

この悪循環を断ち切らない限り、

意識改革は夢のまた夢になってしまいます。

 

仕事の生産性アップは一人一人が元気な状態を作ることが出発点です。

 

生きる勢いをなくした状態で、

コミュニケーションが悪いだの、

的確意思疎通に問題があるとか、

ボヤットするからミスを繰り返すとかの

現象面をいくら指摘しても無駄なのです。

 

このところ短眠の癖がついている人は、

是非とも生活習慣を切り替えて見てください。

昼間の集中度がみるみる変わってきます。

 

問題解決に必要なアイデアも湧き出るようになります。

 

 

カクテル効果

 

カクテル・パーティ効果」という実験があります。

これは沢山の出席者がいる立食パーティの中で、

参加者同士は三々五々会話を楽しんでいます。

マイクで録音すると分かりますが、

会場は騒然としており、誰が何を個々に話しているのか聞き取ることができません。

 

いわゆるワイワイガヤガヤ状態です。

 

ところが当の本人は、

何の問題もなく隣の人と会話しています。

 

人間は、重要と思うことに聴力を集中し、

それ以外の音は単なる騒音としてシャットアウトしてしまうのです。

 

遠くから「山田さん!」と自分の名前を呼ばれると、

会話中でも一瞬振り返って声の出所を探知しようとします。

 

ここでいう「重要と思う」とは、

 

まず自分に興味があること。

 

自分に関係しないと思うと低くなります。

その話は納得いかないと最初に思うと、

その後の話の重要度は低くなるので、

それ以上聞いて理解しようとはしません。

もし違う人がいたとしたら、

それは立場上そのふりをしているだけです。

部下教育②

 

7分間の奇跡

 

上司は部下に、この業務の重要性を

臨場感をもって理解させることが大切です。

今やハーバード大学経営大学院で人気研究対象のひとつは、

なんと

 

「新幹線のお掃除おばさん」

 

なのだそうです。

JR東日本の子会社に役員で出向した矢部氏は、

おばさんの掃除に対する考え方(重要度)を見事に変えてしまいました。

 

いわく

 

「失礼だがみなさんは、

社会の川上から流れ着いて

今、テッセイ(管理会社)という川下にいる。

でも川下を卑下しないでほしい。

みなさんがお掃除しないと新幹線は動けないのです。

だから、みなさんは、お掃除おばちゃん、おじちゃんじゃない。

世界最高の技術を誇るJR東日本の新幹線のメンテナンスを、

清掃という面から支える技術者なんだ」

(「ハーバードでいちばん人気の国・日本」から引用)

 

何度も機会がある度に話続け、

次第に従業員のマインドが変わっていきました。

そうなると次々に自発的な業務改善と試行錯誤が起こり、

最終的に「7分間の奇跡」とハーバードの教授に絶賛され、

学生もこの教授の講座をこぞって選択するほどのインパクトを世界にもたらしたのです。

部下教育③

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